会社都合退職の理由は離職票で決まる

会社都合退職の「理由」は、離職票(雇用保険被保険者離職証明書)の7欄で名前が付く。会社が1から6の区分のうち1つに○を付け、その下の具体的事情記載欄に経緯を書く。給付の扱いを動かすのは、本人が辞めるときに何と言ったかよりも、どの区分に当たるかのほう。しかも、ここに付いた○がそのまま確定するわけでもない。

離職理由は、6つの区分から1つ選ばれる

7欄の区分は、1「事業所の倒産によるもの」、2「定年によるもの」、3「労働契約期間満了等によるもの」、4「事業主からの働きかけによるもの」、5「労働者の判断によるもの」、そして1から5のどれにも当たらない場合の6「その他」。会社は主たる離職理由に当たるものを1つ選び、空欄になっている箇所(定年の年齢など)を埋める。

区分の中はさらに枝分かれしている。倒産なら手形取引の停止や事業所の廃止、労働契約期間満了なら採用時や定年後の再雇用であらかじめ定められた雇用期限の到来、恒常的な制度として置かれている早期退職優遇制度への応募、移籍出向といった枝が並ぶ。

退職勧奨に応じた退職は「事業主からの働きかけ」に入る

4の枝のうち、4(1)が解雇、4(2)が重責解雇、4(3)が「希望退職の募集又は退職勧奨」。人員整理に伴って会社や人事担当者から退職を勧められ、それに応じて辞めた場合は、合意して辞めていても4(3)。自分が同意書に署名していても、区分の上では労働者の判断の側に入らない。

重責解雇は4(1)とは別枠で、刑法の規定違反、故意または重過失による設備の破壊、重大な就業規則違反といった場合が当たる。ここに入ると給付制限は3か月。

自分から申し出た退職が5(1)になることもある

5「労働者の判断によるもの」は、5(1)「職場における事情による退職」と5(2)「労働者の個人的な事情による退職」に分かれる。5(1)には、賃金の低下や遅配、過度な時間外労働、採用時に示された条件と実際の労働条件が著しく違っていた場合が入る。上司や同僚からの故意の排斥や嫌がらせも、ここ。育児休業や介護休業の申出を正当な理由なく拒まれた場合も5(1)の枝に名前がある。

つまり、辞めると言ったのが自分でも、職場の事情が原因なら区分は5(2)ではなく5(1)になりうる。そのうえで給付の扱いを決めるのは特定受給資格者と特定理由離職者の判断基準で、中身は会社都合退職の条件に整理した。

7欄の区分は、給付の区分とは別物

離職理由欄の各項目について、厚生労働省の労働局は「事業主が主張する離職理由を把握するために便宜上分類したもの」であり「特定受給資格者等の判断基準とは異なります」と書いている。最終的な判定はハローワークが行い、7欄で○が付いた離職理由と異なる場合がある、とも明記されている。

会社が5(2)に○を付けたら自己都合で終わり、という話ではない。

理由ごとに、持っていく資料が違う

区分ごとに、何を資料として持参するかが示されている。倒産なら裁判所が倒産手続の申立てを受理したことを証明する書類、解雇なら解雇予告通知書や退職証明書、就業規則。希望退職の募集に応じた場合は、募集要綱の写しと、応募した事実が分かる資料。

労働条件の問題で辞めたと申し立てるなら、労働契約書、給与明細書、賃金低下に関する通知書、口座振込日が分かる預金通帳、時間外労働が分かるタイムカードの写し。どれも在職中なら自分の手で写しを取れるものばかりで、辞めたあとに会社へ頼んで出てくるかどうかは、辞め方と担当者によって変わる。だから、在職中に揃える。

異議の欄は、辞める日までに見せられる

離職証明書には、本人が事業主の記入した離職理由に異議の「有り・無し」を○で囲み、氏名を書く欄がある。会社は離職する日までに本人へ離職理由を確認させるよう求められていて、賃金の計算が終わっていない段階でもかまわないとされている。

辞めてから郵送で届くのを待つ必要はない。見せてほしいと言える根拠が、様式の側にある。

自分の職場で確かめる

いま退職勧奨を受けている段階なら、残すものは日付と言葉。誰から、いつ、どういう言い方で勧められたか。それに加えて直近6か月のタイムカードや勤怠記録の写し、給与明細、労働条件通知書。区分の枝のどこに当たるかを後から主張するとき、資料の名前はすでに様式の説明に書かれている。

workprevu の診断は、職場の条件を12の項目に割って記録する。辞めるかどうかの判断の前に、労働時間や決まり方の透明さが自分の条件からどれだけ離れているかを、項目ごとに見られる形にしてある。

出典

  1. 雇用保険離職証明書の記入例・離職理由欄(7欄)の各項目の内容(厚生労働省 神奈川労働局)
  2. 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要(厚生労働省 群馬労働局)
  3. 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲(厚生労働省 ハローワークインターネットサービス)