裁量労働制のメリットは出退勤の自由

裁量労働制で働く人が受け取っているもののうち、割合がいちばん大きいのは出退勤の時刻の決定権。専門業務型の適用労働者のうち58.8%が、出退勤時間を「上司に相談せず、自分が決めている」と答えている。厚生労働省の裁量労働制実態調査(令和元年11〜12月実施、適用労働者47,390人の有効回答、有効回答率45.1%)の数字で、同じ調査では満足度も出ている。

制度の仕組みは1行で足りる。実際に働いた時間を数えるかわりに、労使協定や労使委員会の決議で定めたみなし労働時間を働いたものとして扱う。その代わりに、仕事の進め方を本人の裁量に委ねることが制度の前提になっている。

適用されている人が挙げているのは、この5つ

同じ調査は、適用労働者に働き方の認識を複数回答で聞いている。割合の高い順に並べると、こうなる。

  • 「時間にとらわれず柔軟に働くことで、ワークライフバランスが確保できる」50.4%
  • 「仕事の裁量が与えられることで、メリハリのある仕事ができる」48.9%
  • 「効率的に働くことで、労働時間を減らすことができる」45.7%
  • 「自分の能力を発揮しやすい」42.2%
  • 「能力や仕事の成果に応じた処遇となっている」26.6%

上の3つは5割前後で並ぶ。処遇の項目だけが26.6%まで落ちているのは、時間の使い方が変わっても賃金の決まり方までは変わらない、と受け取っている人が多いということだろう。時間の配分と評価の仕組みは、別の場所で決まっている。

裁量が及ぶ範囲は、項目ごとに分かれている

「裁量がある」をひとまとめにすると、見積もりを誤る。調査は項目を分けて聞いていて、答えの形が項目ごとに違う。

出退勤時間では、専門業務型で「上司に相談せず、自分が決めている」が58.8%、「上司に相談の上、自分が決めている」が27.1%。企画業務型は49.2%と39.9%。

具体的な仕事の内容・量になると、専門業務型でいちばん多いのは「上司に相談の上、自分が決めている」の38.7%で、次が「上司に相談せず、自分が決めている」の24.9%。企画業務型は「上司に相談の上、自分が決めている」が45.4%、次が「自分に相談の上、上司が決めている」の25.3%。

業務の目的、目標、期限等の基本的事項では、専門業務型で「上司に相談の上、自分が決めている」が47.8%、「自分に相談の上、上司が決めている」が20.1%。企画業務型は57.4%と23.1%。

時刻は自分で決めている人が多数で、何をどれだけやるかは上司との相談を経ている。制度が動かすのは時間の使い方のほうだと、この並びは示している。

満足度は8割、不満は2割

裁量労働制が適用されていることに対する満足度は、「満足している」41.8%、「やや満足している」38.6%、「やや不満である」14.6%、「不満である」4.4%。

制度への意見のほうは割れている。「今のままでよい」34.1%、「特に意見はない」28.4%、「制度を見直すべき」28.0%。満足していると答えた人の割合に比べて、「今のままでよい」が少ない。

対価のほうも、同じ調査に出ている

適用労働者の1週間の平均労働時間数は45時間18分、1日の平均労働時間数は9時間0分、1週間の平均労働日数は5.03日。非適用労働者のほうは1週間43時間2分、1日8時間39分、1週間の平均労働日数4.97日。1日あたりの差は21分で、1週間では2時間16分になる。

みなし労働時間のほうは、適用労働者がいる事業場の1日の平均で、単純平均8時間30分、労働日数加重平均8時間14分。実際の1日9時間0分は、みなしとして置かれた時間より長い。

働き方の認識には、負の側の項目も並んでいる。「業務量が過大である」23.8%、「賃金などの処遇が悪い」20.1%、「休暇が取りにくい」19.0%、「労働時間が長い」18.3%。出退勤の自由と引き換えに置かれているのは、この4つ。

裁量の程度は、4段階の尺度で測られている

この調査が裁量の程度を測るのに使っている選択肢は4段階。「自分に相談なく、上司(又は社内の決まり)が決めている」「自分に相談の上、上司が決めている」「上司に相談の上、自分が決めている」「上司に相談せず、自分が決めている」の順で、決める人が上司から自分へ移っていき、中央の2つは相談を挟んだうえでどちらが決めるかで分かれる。

公開されている尺度なので、そのまま自分の職場に当てられる。当てる先は4つ。出退勤時間、具体的な仕事の内容・量、業務の目的と目標と期限、進捗報告の頻度。4項目に4段階を当てて書き出すと、「裁量がある」という一語では見えない配分が出てくる。

仕事の進め方をどこまで自分で決められるかという軸そのものは、裁量権の定義のほうに書いた。始業と終業の時刻を本人が決める別の制度についてはフレックスタイム制の定義にある。

自分の職場で確かめる

書き出しておくと後で効くのは、4つの項目それぞれで誰が決めているか、そして実際の出退勤の時刻。2つ目があると、みなし時間との差が月ごとに出る。

workprevu の診断は、職場の条件を12の項目に割って記録する。時間と場所の自由度も、仕事の進め方の裁量も、別の項目として聞く形にしてある。同じ職場の人の答えと並べたときのずれを見るための記録。

出典

  1. 裁量労働制実態調査 結果の概要(厚生労働省、令和元年11〜12月実施、適用労働者調査の有効回答47,390人)
  2. 多様で柔軟な働き方3 専門業務型裁量労働制とは/確かめよう労働条件(厚生労働省)